第3回 時刻歴応答解析って本当に必要? シリーズ:地震に強い家づくりのための基礎知識

地震に強い家づくりに必要な基礎知識をシリーズで解説していきます。第3回目は「時刻歴応答解析」について、時刻歴応答解析の基本や壁量計算との違いを説明します。イデアホームでは、今後予想される南海トラフ地震や首都直下型地震に備え、家族を守るための地震に強い家づくりを行っています!

第3回 時刻歴応答解析って本当に必要? シリーズ:地震に強い家づくりのための基礎知識

耐震のノウハウ

2024/11/14

時刻歴応答解析とは? 本当に必要?

今回は、地震に強い家づくりを考えている方へ「時刻歴応答解析」について解説します。このシリーズの第3回目では、構造計算の中でも特に重要な時刻歴応答解析を取り上げ、地震時の建物の動きを予測する計算方法をわかりやすく説明します。これまでの回では、壁量計算や構造計算について紹介してきましたが、今回は地震に強い家を目指す上で「時刻歴応答解析」がなぜ有効か、どのような場面で必要とされるのかに焦点を当てます。

「地震に強い家づくり構造計算の基礎知識」シリーズでは、住宅の地震対策に役立つ知識をお届けします。第1回は「壁量計算ってなに?」、耐震性を高めるための壁の配置を解説。第2回は「今さら聞けない構造計算について」として、家全体の構造計算の基本を取り上げました。そして第3回の今回は、「時刻歴応答解析」に焦点を当て、地震時の建物の動きを予測する計算方法をわかりやすく説明します。地震に強い家づくりをお考えの方におすすめです。

構造計算の中でもより複雑な時刻歴応答解析の違いは?  

許容応力度計算などの構造計算は、建物の各部に地震や強風などで最大の力がかかったとき、その変形が基準以内に収まっているかを計算し、合否を判定します。これは、「最大の力がかかったときに耐えられれば問題ない」という考え方です。しかし実際の地震では、大きな揺れや小さな揺れが何度も発生するため、より細かな解析が必要となることもあります。

時刻歴応答解析では、地震の始まりから終わりまで繰り返し発生する揺れを時系列に追い、1/1000秒ごとに建物の各部材がどの程度損傷・変形したかを計算し、最終的な損傷状態を分析します。構造計算では、部材が耐えられる力の数値を基に計算しますが、時刻歴応答解析では小さな力から大きな力までを考慮し、部材の変形・損傷度合いをパラメータとして使います。これにより、過去の地震や将来の想定地震を基に、実際の地震に近い状況で建物の応答を予測できます。

一般的な構造計算と時刻歴応答解析はどれくらい異なるのか?  

時刻歴応答解析は構造計算の一種ですが、時刻ごとの変化を連続的に計算するため、一般的な構造計算よりも計算量が多くなります。通常の構造計算を1回とすると、時刻歴応答解析では20万~30万回の計算が必要です。近年、PCの性能向上により、この膨大な計算も容易になりました。また、時刻歴応答解析は単なるシミュレーションではなく、精緻な科学的裏付けをもつ解析手法です。

イデアホームでは全棟に構造計算および時刻歴応答解析を実施しています。

▼構造計算の詳細や他の計算方法については、「第2回 今さら聞けない構造計算について シリーズ:地震に強い家づくり構造計算の基礎知識」をご覧ください。

時刻歴応答解析について深掘りしよう  

ここでは、時刻歴応答解析に関する疑問について詳しく解説します。

時刻歴応答解析をしないと家を建てられないの?

一般的な住宅では、時刻歴応用計算は法的に義務づけられていません。特に、一般的な2階建て以下の木造住宅や延べ面積が500㎡未満の住宅の場合、構造計算すら不要で、壁量計算といった簡易な計算方法でも法的に問題ありません。これらの方法でも建築基準法に基づく最低限の耐震基準はクリアできます。しかし、イデアホームでは、これが地震による木造住宅の被害増加の一因であると考えています。法的な最低基準だけでは十分に安全な住宅が確保できない場合が多いためです。

本当に時刻歴応答解析は必要なの?

一般的な壁量計算では建物の耐震性をおおまかに確認できますが、大地震や複雑な建物構造には対応しきれません。しかし、時刻歴応答解析を用いることで、地震の揺れに対する建物の反応が時間ごとに詳細にシミュレーションされ、精密な被害予測が可能になります。これにより、より正確な耐震設計が実現し、大地震や複雑な構造にも対応できるようになります。

壁量計算との違いは?

壁量計算は、建物に設置される耐力壁の量を床面積に係数をかけて算出し、基本的な耐震性を確認する方法です。木造住宅に多く用いられますが、時刻歴応答解析では地震発生時に建物がどのような力を受けるかを、住宅の各部の重量をもとにシミュレーションします。このシミュレーションにより、複雑な形状の建物や大規模な地震にも対応可能な設計が実現できます。

▼壁量計算と構造計算の違いについては「第1回 壁量計算ってなに? シリーズ:地震に強い家づくり構造計算の基礎知識」をご覧ください。

揺れのシミュレーション、Wallstatとの違いは?

イデアホームでは、耐震性能を可視化する構造解析ソフト「Wallstat(ウォールスタット)」を使用しています。Wallstatは木造建築向けの時刻歴応答解析ソフトで、1秒間に10コマの画像で揺れを切り出し、動画として表示できます。動画化により、一般の人でも地震時の建物の挙動や損傷状況を視覚的に理解しやすくしています。

▼詳しくは「wallstatを知っていますか? 耐震性能が可視化できる分析ツール」の記事をご覧ください。

2025年から木造住宅における構造計算が義務化の影響は?

2025年の建築基準法改正により、木造住宅における構造計算の義務化が進みます。この改正では、特に「許容応力度計算」や「壁量計算」の対象範囲が広がり、300㎡以上の住宅や一部の小規模住宅でも構造計算が必要になります。しかし、一般的な木造住宅は200㎡以下がほとんどであるため、構造計算や「時刻歴応答解析」が必須となるわけではなく、法改正による安全性の向上が直接関係するケースは少ないといえます。

時刻歴応答解析を行わなくても法的には問題ありません。しかし、特に地盤が弱く地震時に大きな揺れが想定される地域では、地震対策の強化として時刻歴応答解析を追加することで、より高い安全性が確保できます。

地震に強い家づくりならイデアホーム

今回のシリーズは地震に強い家づくりのための基礎知識をお届けしましたが、これが最終回となります。構造計算がなぜ地震に強い家づくりに欠かせないのか、伝わりましたでしょうか? もし「ここがよくわからない」「ではどうすればいいのか」といった疑問がありましたら、耐震研究所へお越しください。

イデアホームは、耐震性に特化した工務店として、詳細な構造計算を通じてお客様に安心を提供しています。さらに、今回ご紹介した「時刻歴応答解析」も導入し、地震時の揺れや負荷を精密にシミュレーションすることで、家全体の耐震性を最適化しています。これにより、南海トラフ地震や首都直下型地震といった大規模な地震にも対応できる安全な家づくりが可能です。イデアホームの耐震性に優れた家づくりを体感し、家族の安全を守る理想の住まいを一緒に実現しましょう。

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