フラット35について学ぼう

「フラット35」は長期固定金利の住宅ローンです。複雑なフラット35の要件を、できるだけわかりやすく解説していきます。

フラット35について学ぼう

お金のノウハウ

2021/11/04

フラット35とは

フラット35とは、最長35年長期固定金利の住宅ローンのことです。住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して融資を行っています。融資を受ける際には、民間の住宅ローンと同様審査があります。では、フラット35にはどのような特徴があるのでしょうか。詳しく説明していきます。

フラット35の特徴

・保証人が不要です。
・団体信用生命保険に加入できなくてもローンが利用可能です。

フラット35を利用できる人の条件

・申込時の年齢が70才未満の方(親子リレー返済を利用する場合は、70歳以上の方もお申込可能)。
・安定した収入がある方。
・日本国籍の方または永住許可などを受けている外国人の方。
・フラット35とその他のお借入れ(自動車ローンなど)を合わせたすべてのお借入れの年間返済額が、年収に対して基準割合を満たしていること。(年収400万円未満の場合:30%以下、年収400万円以上の場合:35%以下)。

住宅に関する条件

・住宅金融支援機構が定めた技術水準を満たす住宅であること。第三者である建築士資格を持つ専門家が、利用者の住宅が技術基準に適合しているか、検査を行います。
・床面積が一戸建てで70平方メートル以上、共同住宅で30平方メートル以上であること。マンションなどの共用住宅の床面積は、専有面積を指します。共用部分は含まれません。

いくらまで借りられるのか

100万円以上8,000万円以下(1万円単位)で、建築費または購入価格の100%以内になります。100万円以上かつ限度額以内であれば、建設費または購入価額まで融資を受けられます。建設費および購入価額には、一般的に「諸費用」といわれる登記費用や、仲介手数料といったものまで含めることが可能です。

借入期間

・最短は15年以上です。申込者または連帯債務者が60歳以上の場合は10年以上になります。
・上限については、(1)か(2)のいずれか短い期間(1年単位)になります。
(1)80歳-申込者(※ 親子リレー返済の場合は後継者を申込者として計算)の申込時の年齢(1歳未満切上げ)
(2)​​35年

資金の使途

申込み本人か親族が住む新築住宅の建設・購入資金、もしくは中古住宅の購入資金として使われることが条件になります。投資用物件の購入資金としては利用できません。定められた資金使途以外に利用した場合は、住宅金融支援機構から一括返済を要求されることになるため注意が必要です。必ず決められた使途に従ってフラット35を利用しましょう。

銀行ローンとの違いについて

金利のタイプ

銀行の住宅ローンには、さまざまな金利のタイプ(全期間固定金利型、固定金利期間選択型、変動金利型など)があるため、金利のタイプを選んだり組み合わせたりすることが可能です。フラット35の金利タイプは、全期間固定金利型のみになります。

利用条件

フラット35の場合、会社の勤続年数や勤務形態は不問です。ただし建物については、現場検査による「適合証明書」(住宅金融支援機構が独自に定めている技術基準に当該住宅が適合していることを証明する書類)の取得が必要になります。
銀行の住宅ローンは、金融機関ごとに勤続年数などの基準が設けられているため、一般的にはフラット35よりもローン条件は厳しい傾向にあるといえます。通常の住宅ローンの場合「適合証明書」の取得は不要です。

手数料や保証料

フラット35は、保証会社に支払う保証料がない代わりに、手数料が高いところがあります。銀行の住宅ローンには保証料があり、手数料は定額方式であるケースが多いです。

団体信用生命保険の加入

団体信用生命保険とは、ローン返済中にローン契約者が死亡する、あるいは高度機能障害になるなど、ローン契約者に万が一のことがあった場合に残りのローン返済額を保険料で弁済するというものです。銀行の住宅ローンは原則必須ですが、フラット35の場合加入は任意です。

フラット35に向いている人はどんな人?

フラット35の特徴を説明してきましたが、どのような方がフラット35を選択するのに向いているのでしょうか。

  • 自営業やフリーランスの人や、仕事はしていないけれど家賃収入などの不労所得がある人など、収入はあるものの正社員ではない人。
  • 就職してまもない人や、転職したばかりなど勤続年数が短い会社員の人。
  • 金利の上昇リスクを避けたい人

もちろんこれらの条件に当てはまらない場合でもフラット35を利用することは可能です。フラット35の利用を検討している方は、メリットとデメリットについて正しく把握しておきましょう。

フラット35のメリット

全期間固定金利

フラット35は全期間固定金利型の住宅ローンのため、返済期間中は金利が変わりません。固定金利のため毎月の返済額や返済総額が借入時に確定します。このことにより安定した返済計画が立てられます。

繰り上げ返済の手数料が不要

資金に余裕ができて、前倒しで返済する場合でも手数料が発生しません。早くローン返済を終えたい人には、手数料不要は嬉しいですね。

勤続年数が短くても借り入れ可能

勤続年数や雇用形態などの基準が無いため、勤続年数が短くても借りられます。また、育児休業や産休、介護休業取得中の人も借り入れが可能です(※証明書類の提出が必要になります)。

団体信用生命保険への加入が不要

団体信用生命保険への加入が任意のため、健康に不安がある人も借り入れが可能です。

粗悪な住宅を購入するリスクを回避できる

住宅金融支援機構の技術基準は、建築基準法で規定していない細かな部分も含め、もはや住宅の最低標準基準ともいえる仕様です。この仕様に適合しているか現場検査があるため、粗悪な住宅を購入するリスクは低くなります。

フラット35のデメリット

変動金利型と比較すると金利が高め

変動金利型のローンは、政策金利を基準に決定される「短期プライムレート」と連動した金利が採用されています。そのため、現在は非常に低い金利に設定されています。金利は変動するため、将来的に金利が上がる可能性があり、どちらが一概に良いとは言えません。しかし、完済時まで金利が全期間固定金利の水準を上回らない場合、変動金利型の方が返済総額は少なくなることがあります。

借入額が住宅価格の9割を超えると金利が高くなる

フラット35では、建設費または購入価額まで融資を受けることが可能です。ただし、頭金を購入価額の1割以下しか用意できず、9割超の金額を借り入れる場合は金利が上がります。借入額が住宅価格の9割を超える場合は、あらかじめ少し金利が高くなることを想定した返済計画を立てましょう。

建物が住宅金融支援機構の基準を満たしていないと借り入れ不可

フラット35を利用するためには、購入する住宅に関して独自の技術基準が設けられており、どのような住宅にでも利用できるものではありません。そして、その技術水準を満たしていることを住宅金融支援機構に証明する適合証明書の提出が必要で、そのための検査費用がかかります。基準を満たしていない住宅はオススメできません。

繰り上げ金額の最低金額は高め

繰り上げ返済の手数料がかからないことはメリットですが、繰り上げ金額の最低金額は高めになります。ローンによって繰り上げ返済額の最低金額は異なりますが、フラット35は最低100万円以上からになります。ただし、「住・My Note(すまいのーと)」の利用者は10万円以上から繰り上げ返済することが可能です。
※住・My Note(すまいのーと)とは「フラット35」を利用している方が残高照会したり、証明書類の発行を依頼したりすることができるインターネットサービスです。

フラット35の種類

フラット35には、購入する住宅やライフプランに合わせて選べる様々な種類があります。それぞれの特徴をご紹介します。

フラット35S

特に省エネルギー性、耐震性など質の高い住宅を取得する場合に適用できる住宅ローンです。フラット35よりも一定期間金利が0.25%低くなる商品になります。

フラット20

借入期間を15年以上20年以下にすることで、金利を下げられる住宅ローンです。原則として、返済途中で借入期間を21年以上に延長することはできないため、しっかりした返済計画をたてましょう。

フラット35リノベ

中古住宅の取得と、リフォームの費用をまとめて借入できる住宅ローンです。中古住宅の取得と性能向上リフォームをセットにして借入することで、借入金利を一定期間引き下げることができるメニューになります。新築ではなく、中古物件をお探しの方はこちらになります。

フラット50

「長期優良住宅」と国に認定された住宅の購入で利用できる住宅ローンです。長期優良住宅は、バリアフリー性や省エネルギー性、耐震性などを国が認定した優良住宅のことです。返済期間を最長50年まで設定できます。

住宅ローンの選択をするときは

何ごとにおいてもメリットとデメリットはほとんど表裏一体です。フラット35においては全期間固定金利であることが良い方向にも悪い方向にも働くことがあります。フラット35を含め住宅ローンにはそれぞれ一長一短があり、「この住宅ローンを選べば間違いない!」という商品は存在しません。
フラット35の特性だけでなく、各金融機関の住宅ローンの特性も踏まえた上で、自分のライフスタイルに合った住宅ローンを選択することが大切です。

また、ご家族のライフプランなどをよく考慮し、様々なケースを想定してシミュレーションをすることも大切です。住宅ローンのことで困ったことがあれば、金融機関に相談することも選択肢のひとつです。

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