平屋の一戸建てのメリット・デメリット&建てるときのポイント
平屋にしようか悩んでいる方必見。平屋のメリット・デメリットと、平屋を建てるときのポイントをわかりやすく解説します。
家づくりのノウハウ
2021/09/30
目次
平屋のメリット
住宅における平屋とは、階層が1階層の建物の造りのことをいいます。つまり階段がない1階建ての建物のことです。
平屋というと古い日本家屋のイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。ですが、最近ではおしゃれで個性的な平屋が増え、若い世代にもとても人気があります。まずはそんな平屋のメリットについてご紹介します。
生活動線や家事動線が効率的
「生活動線」とは生活をする際の移動経路、「家事動線」とは家事をする際の移動経路のことをいいます。毎日の家事って意外と移動することが多いのではないでしょうか。平屋だと2階がないので階段の往復が不要になるため、移動の負担が少なく済みます。家の中で最も埃が溜まりやすい場所は階段とも言われるので、掃除も楽になります。家事が楽になれば時間の節約もできます。
また、2階建てだとどうしても1階と2階に温度差が生じ、1階が寒く2階が暑くなりがちですが、平屋だと冷暖房の効率も優れている場合が多いです。光熱費が抑えられたら家計にも嬉しいですね。
コミュニケーションがとりやすい
家族全員が同じフロアにいるため、自然と会話が生まれやすく、コミュニケーションがとりやすくなります。ワンフロアでの暮らしは目が届く範囲が広く、子供が小さいうちは安全面でもメリットが大きいでしょう。「子供が帰宅後まっすぐ2階に上がったため、いつ帰ったのかわからない」などという状態も防げます。
ワンフロアを広くとれる
上部が屋根だけで軽いため、支えるための壁や柱も不要になる分、広いワンフロアも実現可能です。構造上安定するため、2階建てや3階建てに比べ、比較的台風や地震などの災害に強い傾向があります。ただし床上浸水など、水害には弱いので、海や川が近い地域では注意が必要です。
開放感がある
部屋を広く取れるため、室内に開放感が生まれます。さらにリビングからウッドデッキや庭などの屋外まで含めた一体感を作れます。室内にいながら屋外を感じられる「内」と「外」が近い暮らしは、平屋ならでは。自然を身近に感じることで、変わりゆく季節を感じやすいかもしれません。
転落の危険がなく、バリアフリー対応もしやすい
「階段からの転落」は、家庭内でおこりやすい事故のひとつです。階段がないことで、高齢者や幼児、ペットなどの転落の危険性がなくなります。またバリアフリー設計にできるため、将来介護などが必要になった際も、車椅子での移動も安心。家族みんなに優しい住環境といえるでしょう。
将来に備えたコストダウン
子供たちが巣立つと、2階にあった子供部屋は不要になることがほとんどです。老後2階に上がるのが大変になり、2階が物置化するという話をよく耳にします。最初からつくらないことで、人生設計の中でのコストダウンに繋がります。
メンテナンス費用を抑えやすい
家は建築・購入しただけで終わりではなく、その後もメンテナンス費用がかかります。平屋は2階がないので、外壁や屋根の修繕時には大がかりな足場が必要なく、費用を抑えられます。
平屋のデメリット
平屋のメリットをご紹介しましたが、もちろんデメリットもあります。デメリットもきちんと把握しておきましょう。
広い敷地が必要
部屋数が多く、ゆったりとした広い平屋を建てようと思ったら場合には、広い敷地が必要になります。設計には敷地条件が大きく影響します。平屋を建てる際には、土地探しの段階で、理想の間取りの家が建てられる広さの土地なのか、建ぺい率(土地の中で建物を建ててもよい面積の割合)などもきちんと確認しましょう。
また平屋の場合、2階ベランダが無いため、洗濯物を干すスペースとして庭やランドリールーム等を確保するか、乾燥機の設置が必須になってきます。家を建てた後に布団を干す場所がない!というようなことにならないよう注意しましょう。
2階が無い分延床面積は狭くなるので、収納の確保も大切です。床下や作り付けの棚などを上手く利用しましょう。
坪単価が高くなりやすい
2階建てと同じ延床面積だとしても、工事単価の基礎や屋根が2階建てより広い分、坪単価は割高になる傾向にあります。
平屋の場合、建築時に大きな足場を組まなくて済む点や、2階のトイレや洗面台などの住宅設備が不要な点で、その分費用が抑えられるケースもあります。ですが、坪単価に換算すると2階建てより少し高くなるケースが多いようです。
日当たりや風通しに注意
建物が大きいほど部屋の四方が他の部屋で囲まれ、窓がなく陽当たりや風通しの悪い空間ができやすくなります。中庭を作ったり、コの字型やくの字型の間取りにするなど、間取りを工夫することで解消することができます。
また隣家と密接する場合や、周囲の住宅の大きさとの兼ね合いでも日当たりにかなり差が出てきます。例えば密接した住宅地でお隣が3階建てだったり、すぐ近くにマンションや団地などがある場合です。高い建物が隣接していると日光が遮られるため、日当たりが悪くなります。周囲の環境を考慮して、土地選びをしましょう。
プライバシーや防犯面に配慮が必要
LDKや居室が全てワンフロアになるため、家族同士のプライバシーも、2階建て住宅に比べると確保しにくいといえます。個別の空間を作るよう、部屋割りを工夫するようにしましょう。
寝室やお風呂、子供部屋も全てワンフロアになると考えた時、防犯面に不安があります。採光や風通しのことばかり考えてしまうと、窓が増えて外からお部屋が見えやすくなってしまいます。外部からの視線対策や間取りの工夫も検討が必要です。防犯カメラや防犯砂利、センサーライトの設置、窓を防犯ガラスにするなど、何かしら対策をしておいたほうが良いでしょう。
平屋は高くつくって本当?
2階が無いのだから資材も少なく済み、平屋の方がなんとなく安くなるのでは?というイメージがある方もいらっしゃるかもしれません。
平屋の建築費用は、延床面積や依頼する住宅会社、間取り、設備などによって変わります。一般的に2~3LDKの広さで1,500~2,500万円くらいが相場です。
デメリットでも触れましたが、実際には基礎や屋根の面積が増える分、単純に同じ延床面積なら平屋の方が坪単価は高くなってしまうのです。しかし、建築面積(1階部分の面積)が同じなら、2階や3階の建築コストや階段などを設けずに済む平屋の方が、建築コストは安くなります。階段や、階段に関わる廊下や踊り場が不要になるので、その分のスペースも有効活用できます。
さらに平屋は後々の修繕費などは2階建てより抑えられる傾向にあるため「建てるときの費用」と「建てた後の費用」をトータルで比較したうえで考えることが大切です。延床面積での坪単価と、建築面積での建築コストを比較しただけで、一概にどちらが高い・安いと安易に判断はできません。大切なのは自分たちのライフスタイルに合わせた間取りを考えたときに、必要なスペース次第で平屋と2階建てのどちらがコストを抑えられるかを考えることです。
新築で平屋住宅を建てる際の注意点
ご紹介したメリット・デメリットを踏まえ、平屋を建てる際に気をつけたい注意点をまとめました。
窓の配置
周囲の建物からの圧迫感がなく、プライバシーも守れる平屋住宅をつくるためには、「どこに窓を作るか」が重要です。例えば勾配天井の中央に天窓をつくることで、日当たりもよくなり、星空を眺めるなどということもできます。
隣家の窓と重ならない場所を選び、できるだけ周囲の建物と建物の間を視線が抜けるような方向に窓をつけることがコツです。
中庭を設ける
もし敷地スペースに余裕があるなら、小さな中庭を作るのはいかがでしょうか。日当たり対策にもなり、プライベート空間の確保にもなります。中庭で家庭菜園やプール遊びなど、子供と一緒に楽しまれるのも素敵ではないでしょうか。
収納の数・容量を考える
平屋は2階建てに比べると延床面積が狭くなりがちなため、収納の確保も大切です。居住空間を広くするあまり、収納スペースを極端に減らしてしまうようなことがあってはいけません。住み始めてから「収納スペースが足りない!」とならないように、家族の人数や将来のライフスタイルの変化も考え収納を確保するようにしましょう。
部屋数と個室の広さ
開放的にしたいがためにしきりが少なく、プライベートな空間がない!という事態にならないように気をつけましょう。同居や子供部屋の必要性なども考え、あとから仕切って個室にできるプランなども検討すると安心です。
ロフトをつくる
2階が無い分、天井を高くすることが可能です。そのスペースにロフトを作って、後々子供部屋や書斎にすることも良いのではないでしょうか。秘密基地のようでワクワクしますね。
後々のリフォーム・リノベーション
新築時に必要最低限の部屋数で平屋を建てる場合、後々増改築することも意識した家づくりをすることをオススメします。あらかじめ増改築が可能な工法なのか、敷地スペースは足りるのかを確認しておきましょう。
ここまでご紹介した注意点の他にも、ドアをスライド式にすることで省スペース化したり、デッキに屋根を作ることで外に一部屋あるように見せ、開放感を演出することも可能です。もし敷地が狭かったとしても、様々な工夫をすることによって、平屋の住まいをより快適にすることが可能です。
まとめ
平屋のメリット・デメリットや、建てる際の注意点をご紹介しましたが、いかがでしょうか。
平屋に限らず、マンションや2階建て・3階建ての住宅でも必ずメリット・デメリットはあります。まずは、将来子供は何人欲しいのか、後々両親との同居をするのかなど、今後のライフプランをしっかり設計した上で、必要な設備や部屋数を考えましょう。自分たちの希望する間取りやライフスタイルが実現できるかを考慮して、平屋の建築・購入を選択するとよいでしょう。
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