住宅ローン控除には何が必要?【新築編】

住宅を購入をする場合、住宅ローンを利用する人がほとんどです。その際に一定の条件を満たすと「住宅ローン控除」が利用できます。住宅ローン控除を利用するうえで大事な基礎知識と、必要な書類や手続きの仕方を紹介します。

住宅ローン控除には何が必要?【新築編】

お金のノウハウ

2022/02/03

目次

住宅ローン控除とは?

住宅ローンを組む際に、いろいろ調べると「住宅ローン控除」という言葉を見たり聞いたりすると思います。住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」で「住宅ローン減税」とも言います。住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を新築した際や、中古住宅に省エネやバリアフリーなど特定のリフォームを行った際に、年末のローン残高によって所得税が還付される制度です。
住宅ローン控除を受ける一番の利点は節税になることです。所得税で控除できなかった部分は、住民税から差し引くことも可能なため、人によっては所得税・住民税が全額差し引かれる可能性もあります。
2021年末までが期限とされていた住宅ローン控除ですが、2022年も内容を改正して延長することが決定しました。2021年末までの住宅ローン控除は2021年11月30日が契約期限、2022年12月31日が入居期限となっていましたが、4年間期間延長され、令和7年(2025年)までの適用となりました。

住宅ローン控除を受けるための条件

新築住宅の場合、住宅ローン控除を受けるためにどのような条件があるのかをご紹介します。

自らが居住する住宅である

控除を受ける本人が家を購入した日以降6か月以内に入居し、かつ控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること。親族の家や投資用物件の場合、控除は適用されません。

住宅ローンの借入期間が10年以上

住宅の新築又は取得のためのローン・債務で、10年以上の期間をかけて分割返済するものであること。この場合、住宅と併せて取得する住宅の用地となる土地等を取得するためのローンも含みます。

控除を受ける人の所得合計が2,000万円以下

控除を受ける人の給与所得やその他の所得を合わせて、年間所得額が2,000万円以下であること。2022年より、住宅ローン控除が適用できる年間の所得額が3,000万円以下から2,000万円以下に変更になりました。

「長期譲渡所得の課税の特例」などの適用を受けていない

住宅を新築又は取得して、その居住用に供している個人は居住の前後各2年、計5年間において新築又は取得した住宅、及びその敷地の用に供している土地等以外の資産(以前に居住していた住宅等)については、居住用財産等を譲渡した場合の「長期譲渡所得の課税の特例」の適用を受けていないこと。

床面積が50㎡(一部40㎡)以上

床面積は50㎡以上が適用要件であり、ここにいう床面積は登記される面積のことです。新築住宅の床面積要件については、2023年(令和5年)以前に建築確認を受けたものは40㎡以上に緩和され、2023年までに建築確認をした住宅が対象になります。建築確認とは、住宅など建物を建築する際に建築基準法にのっとったものであるかを検査機関に確認してもらうことです。
なお、40㎡以上50㎡未満の新築の住宅で、2023年12月31日までに建築確認を受ける住宅であれば適用対象となります。ただし、控除期間のうち、所得税の合計所得金額が1,000万円を超える年は、住宅ローン減税による控除が適用できないという制限がつきます。

2022年から変更になった住宅ローン控除の概要

2021年までの住宅ローン控除の内容から変更になった点を確認します。

控除率は0.7%(新築・中古住宅共通)

住宅ローン控除の控除額について、控除を受ける年の、年末時点における「住宅ローン残高」に0.7%を乗じた額が控除されます。2021年までの住宅ローン控除からの最も大きな変更点は、この控除率の引下げです。2021年までは1%だったところが0.7%に変更されました。

控除期間は新築住宅で13年、中古住宅は10年

新築住宅は控除期間が10年から13年に延長されました。しかし、直近の住宅ローン控除制度は、2019年の消費増税緩和のために控除期間が元々13年に延長されていました。そう考えるとあまりお得感は感じられないかもしれません。

一般住宅の借入限度額が4,000万円から3,000万円に引下げ

住宅ローン控除には控除が適用される借入上限額が決められています。この上限を超えた金額に控除は適用されません。ただし、環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置があります。一般住宅においては限度額が引下げになりましたが、ZEH住宅においては4,000万円から4,500万円への引上げられました。

詳しく知りたい方は、国土交通省のホームページも確認してみましょう。

住宅ローン控除の申請について

住宅ローン控除の適用を受けるための申請については、1年目のみ確定申告で行う必要があります。住宅ローン控除を受けるための「確定申告(還付申告)」は、会社員の場合、購入・入居した年の「翌年1月から3月15日」までです。会社員等の給与所得者であれば2年目以降は年末調整で行えますが、個人事業主の場合は2年目以降も確定申告で行うことになります。

確定申告とは?

確定申告とは、簡単にわかりやすくいえば「所得税を納める手続」のことです。1月1日~12月31日までの期間の収入から必要経費を差し引き、所得を計算します。課税対象となる所得は、計算した所得から各種控除を差し引いた金額になります。収入や必要経費、各種控除、所得などを確定申告書に記入して、2月16日~3月15日までの間に税務署へ申告し、納税します。
確定申告の対象は収入を得ている人全員ですが、会社員は原則不要です。なぜなら会社員は毎月の給料から会社を通して税金を支払っており、年末に行われる「年末調整」で申告手続が完了するためです。しかし、住宅ローン控除の初年度だけは会社の年末調整での手続ではなく、確定申告が必要になることを覚えておきましょう。

住宅ローン控除の確定申告に必要な書類

住宅ローン控除の確定申告を行う際に、必要になる書類の種類と入手方法をご紹介します。

確定申告書

確定申告書には、AとBの2種類があり、確定申告をする人の職種によって入手する書類が変わります。会社員が使用するのは「確定申告書A」です。申請する所得の種類が「給与所得」「公的年金等の雑所得」「配当所得」「一時所得」のみとシンプルで、比較的簡単に申告しやすくなっています。個人事業者向けは「確定申告書B」になります。個人事業者に限らず「事業所得」や「不動産所得」「譲渡所得」がある場合はBを用いて申告します。
書類は近くの税務署で直接入手するか、もしくは国税庁の公式ホームページからダウンロードが可能です。国税庁のe-Taxを使って、ネットで作成・提出することもできます。

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

住宅借入金等特別控除額の計算明細書は、わかりやすくいえば「住宅ローン控除を受けるための書類」です。住宅ローンの対象となる家の価格や広さ・年末残高など、必要事項を記入して控除額の計算をします。必要事項を記入する際には、売買契約書や登記事項証明書が参考になるでしょう。もし、住宅ローンの債務が連帯債務にかかる場合は、「連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」も必要になります。いずれの書類も、住んでいる地域の税務署で直接入手又は郵送で取り寄せることができます。国税庁の公式ホームページで、フォーマットをダウンロードすることも可能です。

源泉徴収票

住宅ローン控除を申請する年の源泉徴収票が必要になります。源泉徴収票とは、年末から年明けにかけて勤務先から発行される書類で、1年間に会社から支払われた給与や手当などの金額と、納めた所得税の金額が記載されているものです。万が一紛失した場合は、勤務先に再発行依頼をして取得する必要があります。

マイナンバーが記されている書類の写し

マイナンバーカード又は通知カードのいずれかのコピーを準備します。通知カードの場合は、運転免許証やパスポートなど、本人を証明する書類もセットにしての提出が必要です。また、マイナンバーが入った住民票のコピー・住民票記載事項証明書でも代用可能です。いずれも、居住している市町村役場から入手できます。

住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

年末時点での住宅ローン残高が記載された書類のことです。基本的には、借入れしている金融機関から送られてくるので、自ら受け取りに出向く必要はありません。12月末になっても証明書が届かない場合は、金融機関へ問い合わせる必要があります。さらに、複数の金融機関から住宅ローンを借り入れている場合は、対象の各金融機関の証明書が必要になります。

建物・土地の登記事項証明書

登記事項証明書は、契約した土地の情報や契約内容を記した書類のことです。入手するには、土地を管理している法務局に足を運ぶ必要があります。オンラインで申請をして交付を受けることも可能です。

建物・土地の売買契約書、請負契約書の写し

その名の通り、住宅の建築・購入を証明する契約書のことです。住宅ローン控除の確定申告では、「土地の売買契約書」と「建物の工事請負契約書」のコピーが必要になります。土地の購入や家の購入・建築を行った際、不動産会社や建築業者から入手しているはずです。

特例要件(耐震改修や認定長期優良住宅など)を証明するための書類

年末残高等証明書や登記事項証明書などに含まれない、その他の申請書類です。もし、長期優良住宅や低炭素住宅の認定を受けた場合は、その通知書も用意しておきましょう。

2年目以降の住宅ローン控除について

2年目以降の住宅ローン控除は会社員と個人事業主で申請の仕方が異なります。それぞれ解説します。

会社員の場合

会社員なら2年目以降は確定申告をせず、年末調整のみで住宅ローン控除が受けられます。しかし、控除を受けるための手続は必要です。
必要書類は「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」の2種類と、金融機関から送られる「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」になります。
「特別控除申告書」と「特別控除証明書」は、税務署から送られてきます。送付時期は、確定申告をした年の10月頃で、9年分の書類が入っており、初年度を含めて10年分の控除申請ができます。また、消費税率10%で住宅を購入するかその他の条件を満たす場合には、12年分の書類が届きます。これらの書類は、一度に提出するのではなく毎年の年末調整時に都度提出する必要があるため、なくさないよう大切に保管しましょう。

個人事業主の場合

年末調整を行わない個人事業主は、2年目以降も確定申告が必要になります。しかし、初年度と比べると必要書類が少なく、提出の負担は減ります。必要書類は「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」と、「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の2種類です。

会社員・個人事業主、どちらも初年度に比べれば2年目以降の手続は楽になります。ただし住宅ローン控除を受けている期間に、繰上げ返済や借換えを行う場合は注意が必要です。実際のローン残高と住宅取得資金にかかる借入金の年末残高等証明書の内容が異なる可能性があるからです。正確な控除額の計算ができないため、すぐに金融機関へ連絡して、正しい数字で再発行してもらう必要があります。

住宅ローン控除のポイントと注意点

住宅ローン控除を受ける際に、覚えておきたいポイントと注意点は以下になります。

借換えをしても控除が受けられる

住宅ローン控除の条件を満たしていれば、借換えをしても控除を継続できます。条件は「返済期間が10年以上」であることと、「借換え目的が、住宅ローン返済にかかっている」ことです。もし、返済効率を高めるためなどの理由で借換える場合、条件を意識しながら実行しましょう。

ふるさと納税をしているとメリットが減る可能性がある

ふるさと納税と併用して住宅ローン控除を申請している場合、ふるさと納税で控除される所得税と住民税が重複する可能性があります。その場合、ふるさと納税で受けられるメリット、住宅ローン控除で受けられるメリットが半分になり、満足がいかないケースも考えられるので注意が必要です。ふるさと納税を行う場合、支払う予定の所得税と住民税の金額を確認してからにしましょう。

1年目は必ず確定申告をしなければいけない

1年目に確定申告を怠った場合住宅ローン控除は受けられません。何らかの理由で初年度の確定申告が間に合わなかった場合は、控除が発生する翌年の1月1日以降、5年以内に手続をすれば控除を受けられます。

年収によって控除額の上限が異なる

住宅ローン控除の控除額に関して注意したいのは、最大の控除額と実際に控除される金額とは必ずしも一緒ではないということです。住宅ローン控除は納めた所得税と住民税から行われるため、年収によって控除額の上限は異なってきます。納める所得税や住民税が少なければあまり恩恵はないかもしれません。一度自分の年収から控除が可能な金額を確認してみることが重要です。

今後家を建てるならば認定住宅がオススメです

住宅ローン控除に関して、以前の制度と比べ2022年の改正は「改悪」だとも言われています。今後、2024年以降は更に控除の削減が進むため、家の購入を考えている人は2024年より早めに検討した方が良いかもしれません。住宅を取得する上でありがたい住宅ローン控除ですが、控除を受けるには確定申告が必要であり、用意する書類もかなりの数になります。今のうちに住宅ローン控除への知識を深めて、早めの準備を心がけていきましょう。

また確定申告をしたことがない人からすると、控除の申請手続が面倒に感じられるかもしれません。しかし、長期優良認定住宅・認定低炭素住宅などの認定住宅であれば、最大で455万円もの控除を受けられることになります。家は決して安くない買物ですから、減税制度は是非利用したいところです。
長期優良住宅の申請・審査には20〜30万円の費用がかかりますが、控除の金額を考えると認定を受けるべきだと言えます。認定を受ければ性能が満たされた住宅であることが証明されます。他の補助金等との併用も可能ですので、認定を受けて損はありません。
住宅ローン控除に関して、一番控除額が大きいのは認定住宅です。高性能・省エネな住宅は建設コストが高くはなりますが、補助金の取得や減税効果を見込めます。また光熱費や修繕費等のランニングコストを抑え、生活の快適性を上げることもできます。これから新築を考える際には、認定住宅やZEHを視野に入れて計画を立てることをオススメします。

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