住宅ローン減税、実際いくら控除される?
今回は、具体的な計算例を用いて住宅ローン減税の実際の控除額を明確に解説します。所得税や住民税の控除限度、適用条件についても詳しく紹介。住宅ローン減税の全体像を把握し、賢い住宅購入計画を立てましょう。
お金のノウハウ
2023/11/20
目次
住宅ローン減税を正しく理解しよう
住宅ローン控除は正式には「住宅借入金等特別控除」と呼ばれ、住宅ローン減税とも称されます。この制度は、自己の住宅購入やリフォームのために住宅ローンを利用した人が節税できる仕組みです。今回は住宅ローン減税の基本構造、利用条件、そして2022年の税制改正による影響と実際の控除額の計算方法について分かりやすく解説します。
住宅ローン減税とは
住宅ローンとは、家を買う際に銀行などの金融機関から借りるお金のことです。このローンを使うことには大きな利点があります。それは、住宅ローン減税、つまり税金が軽減されることです。住宅ローン減税は、年間の所得税や住民税を住宅ローンの残りの金額に基づいて一定の割合で減らす制度です。具体的に言うと、年末時点での住宅ローン残高0.7%が、家に住み始めてから最大13年間、所得税や住民税から差し引かれます。ただし、どのくらいの金額が差し引かれるかは、個々の所得税額や住民税額によって異なり、税金が全額なくなるわけではないので注意が必要です。
住宅ローン減税、2022年税制改正のポイント
住宅ローン控除は前からある制度ですが、2022年にいくつかの変更がありました。既に住宅ローン控除を受けた方は、変更前の控除率や条件がそのまま適用されますので、ご安心ください。
控除率の変更
2022年まで、住宅ローン残高の1%が控除対象でしたが、令和4年度から0.7%に減りました。
控除期間の延長
2022年から2023年にかけての控除期間は、最長13年になりました。
所得要件の変更
控除対象者の所得要件が、合計所得金額3000万円以下から2000万円以下に引き下げられました。
環境に配慮した住宅の優遇
政府は、環境に良い住宅を推進しています。そのため、長期優良住宅や低炭素住宅などは、一般住宅よりも高い借入限度額が設定されています。
入居時期の延長
住宅ローン控除を受けられる入居時期が、2025年12月末まで延長されました。これらの変更は、環境性能の高い住宅への関心を高めるため、また長期にわたる低金利の状況に対応するために行われました。住宅ローンの利用を考えている方は、これらのポイントを押さえて、自身の購入計画にどのように影響するかを慎重に検討することが重要です。
住宅ローン減税の控除額とは
住宅ローン減税は中古住宅やリフォームや増改築でも利用できますが、今回は新築住宅を購入する場合の借入限度額や控除額などを確認します。なお、住宅の種類や、いつ家に住み始めるかによって、これらの金額は変わります。下記の表を参照して、どのように変わるのかをチェックしてみましょう。
新築住宅に「2022年~2023年年末までに」入居した場合
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 最大控除額(年間) |
---|---|---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 0.7% | 13年 | 35万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 | 31.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 0.7% | 13年 | 28万円 |
その他の住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 13年 | 21万円 |
新築住宅に「2024年~2025年年末までに」入居した場合
住宅の種類 | 借入限度額 | 控除率 | 控除期間 | 最大控除額(年間) |
---|---|---|---|---|
長期優良住宅・低炭素住宅 | 4,500万円 | 0.7% | 13年 | 31.5万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 0.7% | 13年 | 24.5万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 0.7% | 13年 | 21万円 |
その他の住宅 | 2,000万円 ※ | 0.7% | 10年 | 14万円 |
※2023年までに新築の建築確認がされていた場合
例えば、新築の長期優良住宅や低炭素住宅を購入し、2023年の年末までに入居するとします。そして、借入金額が5,000万円だと仮定してみましょう。表を見ると、年間35万円の最大控除額のため「13年で合計455万円が戻ってくるかも!」と思うかもしれません。しかし、実際には、最大控除額は一人ひとりの条件によって異なります。また、ローンの残高が減るにつれて、減税(控除)される金額も減っていきます。さらに、納めた所得税や住民税以上の金額が戻ってくることはないので注意が必要です。
住宅ローン控除の控除額の計算方法
毎年、以下の2つのうち低い金額が所得税や住民税から控除されます。
・年末時点の住宅ローン残高(※)×0.7%
※住宅の取得等の対価の額または費用の額が少ない場合は、その取得等の対価の額または費用の額
注:補助金や贈与等の金額が控除される場合があります。詳細は管轄の税務署までお問い合わせください。
・1年間の最大控除額
例:長期優良住宅や低炭素住宅の新築で2023年に入居する場合、1年間の最大控除額は35万円です。
新築の長期優良住宅の最大控除額は、借入限度額5,000万円×控除率0.7%=35万円です。しかし、住宅ローンの残高が4,500万円の場合の最大控除額は、4,500万円×控除率0.7%=31.5万円です。35万円よりも低いため、実際に控除が受けられるのは31.5万円までです。
借入金額が6,000万円で年末のローン残高が5,500万円だった場合、年末時点の住宅ローン残高✕0.7%は38.5万円ですが、新築の長期優良住宅の最大控除額は借入限度額5,000万円×控除率0.7%=35万円のため、控除が受けられる金額は38.5万円よりも低い35万円になります。
実際に住宅ローン減税の控除額を計算をしてみよう
控除可能額の考え方を把握したうえで、納めるべき所得税や住民税の金額を当てはめると、実際に控除される金額が見えてきます。2023年に長期優良住宅の新築に入居し、年末時点の住宅ローン残高が4,000万円、住宅の取得金額が4,500万円、本来納めるべき所得税が10万円、翌年の住民税が20万円と仮定します。
まずは、年間の控除可能な金額を求めてみましょう。長期優良住宅や低炭素住宅の新築で2023年入居の場合、最大控除額は次のとおりです。
・1年間の最大控除額
借入限度額4,500万円×控除率0.7% = 31.5万円
・年末時点の住宅ローン残高(※)×0.7%
住宅ローン残高を基準とした場合、以下の計算で求められます。
年末時点の住宅ローン残高4,000万円×控除率0.7% = 28万円
つまり、31.5万円よりも低い28万円が控除可能な金額です。
次に、所得税と住民税を計算します。所得税額は10万円ですので、所得税分「10万円」は全額が控除されます。控除額の上限は28万円でしたので、控除できていない額は18万円です。控除しきれなかった額については、住民税から控除されることになります。住民税は20万円ですが、住民税から控除される金額は「最高9万7,500円」と定められています。そのため、 実際の控除金額は以下の通りです。
所得税10万円 + 住民税9.75万円 = 合計19.75万円
このように計算することで、実際の控除額を把握することが可能です。
▼住宅ローン控除を利用するうえで大事な基礎知識と、必要な書類や手続きの仕方についてはこちらの記事をご覧ください。
住宅ローン減税について分からない時はイデアホームへ
住宅ローン控除を利用すると、住宅ローンの負担が大幅に軽減されます。住宅を購入する際には、住宅ローンの返済額だけでなく、控除額も考慮して計画を立てることが大切です。しかし、住宅ローン控除の条件や計算方法は複雑で分かりにくいものです。減税制度を理解するのが難しいと感じたら、金融機関や工務店・ハウスメーカー、税理士に相談するのも良いでしょう。最後に、イデアホームでは住宅に関する様々な相談を承っています。住宅ローン控除の詳細やお住まいに関するご質問があれば、いつでも気軽にご相談ください。あなたの理想の住まいを実現するため、私たちは全力でサポートします。
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