耐震基準とは?旧耐震と新耐震の違い
地震の多い日本では、家や生活を守るために建物の耐震基準が定められています。耐震基準は今までの経験から何度も改正され、現行の「新耐震基準」とそれ以前の「旧耐震基準」に分かれていますが、実際どのような違いがあるのでしょうか?家を建てる際に地震に強い家かどうかは重要なことです。今回は「耐震基準」について解説していきます。
耐震のノウハウ
2022/08/19
目次
耐震基準とは
耐震基準とは、地震に耐える建物構造の基準。建築基準法や建築基準法施工令などによって定められた、建築する建物が最低限満たすべき地震への基準になります。
耐震基準、旧耐震と新耐震の違いは?
「新耐震基準」とは、1981年6月1日に施行された建築基準法の耐震基準のことを呼びます。それ以前の基準を「旧耐震基準」と呼ばれています。これらを区別する略称として「旧耐震」「新耐震」という様に、呼び方が分けられています。1981年6月以降も大規模地震があるたびに、小さな改正は行われていますが、基本的には規定が大きく変わった1981年6月を境としています。
旧耐震基準(1981年5月31日以前) | 新耐震基準(1981年6月1日以降) | |
---|---|---|
震度5程度 | 倒壊・崩壊しない | ほとんど損傷しない |
震度5強以上の地震 | 想定外 | ほとんど損傷しない |
震度6強〜7程度の地震 | 想定外 | 倒壊・崩壊しない |
旧耐震基準ができたのは1950年、1948年の福井地震をきっかけとして出来た基準です。「震度5レベルの中規模地震で建物の崩壊を避けること」に重点が置かれていたため、震度5強以上の地震については想定されていませんでした。1981年改正の新耐震基準では、それまで考慮されていなかった「震度6強~7レベルの大地震での安全確保」にも言及しています。建物の中、もしくは周辺にいる人が建物の倒壊に巻き込まれて被害を受けるという状況を改善するような耐震基準が制定されています。
具体的には新耐震基準では、新しく建物を建てるときは構造計算(許容応力度計算、保有水平耐力計算、60m以上の超高層ビルでは時刻歴応答解析)を行うことが必要と定められました。その結果、新耐震基準に基づいて建てられた家は、震度5程度の地震が起こってもほとんど損傷を受けないようになりました。
ただ、一般的には新耐震基準であれば震度6強~7の地震で倒壊することはないと広く周知されていますが、この基準自体が40年以上前の技術的知見で決められたため、現在の構造解析技術から見ると、新耐震基準であっても震度6強~7で倒壊しないとは言い切れません。現に2016年におきた熊本地震では、新耐震基準の住宅でも倒壊は発生しており注意が必要と言えるでしょう。
許容応力度計算とは
許容応力度計算とは「建物の構造材が衝撃に耐えられるか検討する計算」です。中規模から小規模の木造住宅に対して「長期的(自重など)、短期(地震や台風)ごとに構造材にかかる力(応力度)」を求め「構造材にかかる応力に対して耐えられる力(許容応力度・限界点)」がかかる力(応力度)以下に収まることを示しています。
保有水平耐力計算とは
保有水平耐力とは「建物が水平を保てるか検討する計算」です。地震力などの作用で、柱や梁などの構造材が地震力に耐えることができる力を持っているかを示しています。
時刻歴応答解析とは
時刻歴応答解析とは「60m以上の超高層ビルで義務付けられている詳細かつ、安全性の高い構造計算」 です。地盤に応じて想定される地震動を算出し、その地震動で建物の変形が建物の安全限界を超えないことを示しています。
耐震基準と新しくできた「耐震等級」
2000年に制定された住宅品質確保促進法に基づき、耐震等級という制度ができました。耐震等級制度では、新耐震基準を満たしている家の耐震性能に応じて、1から3までの等級が割り当てられています。
耐震等級1 | 耐震等級1は、現行の建築基準法で定められた最低限の耐震性を満たしていることを示す。つまり1981年6月1日以降に建築された建物については、評価書の有無に関わらず、耐震等級1レベルの耐震性を持っている。 |
耐震等級2 | 耐震等級2は、等級1の1.25倍の地震力に耐えられる強度。つまり震度6強~7レベルの1.25倍の力に対して、倒壊・崩壊しないような強度が求められる。長期優良住宅の認定にも、耐震等級2以上が必要になる。 |
耐震等級3 | 最も高いレベルが耐震等級3で、等級1の1.5倍の地震力に耐えられる強度。つまり震度6強~7レベルの1.5倍の力に対して、倒壊・崩壊しないような強度が求められる。 |
耐震等級1は建築基準法さえ満たしていればよいため、改めて住宅性能表示制度による認定を受ける必要がありません。しかし等級2・3を取得したい場合は、正式な審査を受けた住宅性能評価書の交付が必須となります。申請には設計図書などの書類が必要なため、もし耐震等級2以上を取得したいという場合は、あらかじめハウスメーカーや工務店に相談してみましょう。
▼耐震等級について詳しくはこちらの記事をお読みください
木造2階建て住宅には必須ではない「許容応力度構造計算」
許容応力度計算は木造2階建て住宅には例外的に義務付けられていません。地震に強い家を建てるためには重要な構造計算ですが、法律上必要なのは壁量計算のみです。許容応力度計算は多くのハウスメーカー、工務店では行われていないのが実情です。しかし、許容応力度計算を行うことで、さらに安全で地震に強い家を建てることができます。構造計算、耐震等級についてハウスメーカー、工務店に尋ねれば耐震についてどれだけ真摯に対応しているかがわかります。許容応力度計算をしっかりと行ったり、説明できたりするハウスメーカーや工務店はそれだけ地震に強い家づくりに真剣であると言えるでしょう。
新耐震基準であれば地震に強い家?
建物が耐震等級をクリアしていても、地盤が揺れやすければ地震の被害を受けやすくなります。地震に強い地盤なのか、それとも揺れやすい地盤なのか、可能であれば地盤の揺れやすさを測る微動探査も行った方が良いでしょう。微動探査と地盤調査の結果、必要であれば地盤改良を行うことになります。構造の強さの差が出るため、耐震性のことを考え許容応力度計算を行い、微動探査もしているハウスメーカー・工務店を選ぶことが重要になります。昨今の地震による建物の被害から新耐震であっても40年以上前に決められた耐震基準では決して十分ではないことは明らかです。そのため政府は2025年度にも構造審査を行うよう大幅な見直しを検討しています。許容応力度計算は時間も費用もかかりますが、建物の安全性を確認するために信頼されている計算方法です。法的には義務とされていないとはいえ、壁量計算だけで建てられた住宅より許容応力度計算をしっかりと行った住宅の方が耐震性をより確保できていると考えられるでしょう。
イデアホームの家は、「時刻歴応答解析」という高層ビルで行われている構造計算による耐震シミュレーションによって、阪神淡路大震災の1.5倍に相当する地震でも倒壊しないことが確認しています。許容応力度計算と時刻歴応答解析で耐震性の計算をし、微動探査、地盤解析、設計地震算定を行っています。地震の地震に強い家を建てたいと思ったら、ぜひイデアホームにご相談ください。小さな悩みから丁寧に解決します。
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