今さら聞けない構造計算について シリーズ:地震に強い家づくり構造計算の基礎知識

地震に強い家づくりに必要な基礎知識をシリーズで解説していきます。第二回目は「構造計算」について、構造計算の基本から、構造計算と壁量計算の違いを説明します。イデアホームでは、これから起こり得る南海トラフ地震や首都直下型地震に備え、家族を守るための地震に強い家づくりを行っています!

今さら聞けない構造計算について シリーズ:地震に強い家づくり構造計算の基礎知識

耐震のノウハウ

2024/10/25

今さら聞けない、構造計算とは? 本当に必要?

今回は、地震に強い家づくりを検討している方に向けて、地震に強い家づくりに欠かせない「構造計算」について解説します。このシリーズでは、地震に強い家づくりの基礎知識をわかりやすく解説しています。第2回目のテーマは「構造計算」です。日本では、多くの木造住宅が壁量計算(壁量計算とは、建物が地震や風の力にどれだけ耐えられるかを簡易的に計算する方法)だけで建てられていますが、より精密で耐震性を確保するために重要なのが「構造計算」です。では、あなたの家は構造計算がされているでしょうか? 構造計算をしないといけないのか? 壁量計算は構造計算に含まれるのか? そんな疑問に、地震に強い家づくりを得意とするイデアホームがわかりやすくお答えします。

構造計算ってなに?

構造計算とは、建物が自重や外部からの力(地震、風、積雪など)に対してどれだけ安全に耐えられるかを確認する計算です。建物には、建物自体の重さ(自重)や家具、人による荷重(積載荷重)があります。さらに、自然環境による力(地震力、風圧、積雪荷重など)も加わります。これらの力が建物に応力を与え、変形や損傷を引き起こす可能性があります。構造計算では、これら個々の外力を考慮し、建物がどのように応力に耐え、どのように変形するかを計算します。そして、設計段階でこれらの力に対して十分な強度と耐力を持っているかを確認し、安全な構造を実現します。

建築基準法では、規模の大きな木造住宅や複雑な形状の建物に対して構造計算が義務付けられていますが、これに該当しない小規模な住宅では簡易な壁量計算のみが義務付けられています。

▼詳しくはシリーズ第1回「壁量計算ってなに?」をご覧ください。

耐震等級と耐震を計算するための3つの方法

建物の耐震性を確認するための計算方法には、大きく分けて3つの種類があります。これらの方法によって、耐震性能や安全性が異なります。耐震等級の違いは、建物が地震にどれだけ耐えられるかを示す基準であり、この計算方法によってその強度が変わります。ここでは、その3つの計算方法について詳しく説明します。

仕様規定(簡易計算の基準)  

仕様規定とは、建物の設計において最低限の安全性を確認するために行われる簡易計算のことです。これには、3つの簡単な計算と8つのルールが含まれます。  

  • 壁量計算: 建物の耐力壁の量を算出する計算
  • 四分割法: 壁の配置バランスを確認する方法(偏心率でも可)  
  • N値計算法: 柱と柱頭・柱脚の接合金物の強度を計算するもの。  

3つの簡単な計算と8つのルールに適合する仕様にすれば、建築基準法を満たす木造住宅が設計されます。ただし、この規定は「最低限の基準」であり、完全な安全性が保証されるわけではないため、より高度な計算を行うことが推奨されます。

性能評価(品確法)による壁量計算(品質確保のための計算)  

品確法による壁量計算は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づいて行われる計算方法です。特に長期優良住宅の設計時に必要とされ、1階と2階の面積比率などが考慮されるため、仕様規定よりもやや複雑な計算となります。性能表示計算によって設計された住宅は、長期優良住宅として認められ※、耐震等級2(公共施設の耐震基準)や3(災害時でも機能を維持できるレベル)の強度が保証されます。ただし、許容応力度計算(後述)に比べると簡易な計算です。

構造計算(許容応力度計算)  

許容応力度計算は、構造計算の中でも基本的な計算方法ですが、壁量計算とは根本的に異なるレベルです。木造3階建ての建物では必須となる計算方法で、通常「構造計算」と呼ばれることが多いです。許容応力度計算では、建物にかかる力(応力)を詳細に計算し、部材がその力にどれだけ耐えられるかを確認します。

許容応力度計算を含む構造計算は、仕様規定や性能表示計算と比較して安全性が高く、細部に至るまで考慮されています。そのため、特に地震や風圧といった自然災害に対して建物の強度を最大限に確認できる計算方法です。構造計算にはすべての力を精密に計算するため、時間や費用がかかりますが、安全性を重視する場合には最適な方法と言えるでしょう。

構造計算・性能表示計算・仕様規定の3つをまとめて「構造計算」と称する場合もありますが、厳密には性能表示計算と仕様規定は構造計算ではないのでご注意ください。

構造計算について深掘りしよう  

ここでは、構造計算に関する疑問にお答えしていきます。

構造計算をしないと家を建てられないの?  

すべての住宅で構造計算が必須というわけではありません。小規模な木造住宅やシンプルな構造を持つ住宅であれば、構造計算を行わずとも、建築基準法に基づく壁量計算などの簡易な計算方法で家を建てることが可能です。  

たとえば、2階建て以下の木造住宅や、延べ面積が500㎡未満の住宅では、壁量計算などの簡便な方法で最低限の耐震基準を満たすことが可能です。大部分の住宅はこの条件に該当し、この仕様規定を守ることで最低限の住宅性能を得ます。  ただし、木造3階建て住宅や大規模な建物では構造計算が法的に必須であり、構造計算を行わないと建築許可が下りません。

構造計算と壁量計算の違いは?  

構造計算と壁量計算は、どちらも建物の安全性を確認するための計算ですが、その内容と目的には大きな違いがあります。壁量計算が構造計算の一部であるように見えることもありますが、実際には異なります。  

壁量計算は基本的な安全性を確認するための計算であり、構造計算は家全体の強度を詳しくチェックする計算です。構造計算はより精密で、地震や風に対してどれだけ安全かを詳しく確認できるため、壁量計算よりも信頼性が高いです。  

許容応力度計算以外にも構造計算には種類があるの?  

構造計算には、許容応力度計算以外にもいくつかの種類があります。それぞれの計算方法を簡潔に説明します。

仕様規定による壁量計算では、耐震等級3の家を建てることはできません。壁量計算はあくまで最低限の耐震性能を仮定した計算です。そのため、イデアホームは地震に強い家、耐震性能が高い家を建てるには「構造計算」が必要だと考えています。

Q 構造計算の「ルート」とはなにか?  

A 構造計算は、建物が重力や地震、台風などの自然の力に耐えられるかどうかを計算する方法です。これを計算するためのルールが「ルート」と呼ばれます。建物を安全に建てるために、建築基準法で定められた計算ルートを使用し、建築確認を受ける必要があります。  

ルート1からルート5に進むにつれて、計算は複雑で詳細になります。したがって、許容応力度計算は構造計算の中では比較的簡易な計算となります。

高層建築で使用する計算方法で、地震時に各階がどのように揺れるかをシミュレーションします。木造住宅ではあまり使われませんが、イデアホームではこの解析も行っています。  

※時刻歴応答解析については、シリーズ第3回「時刻歴応答解析」で詳しく解説します。

ルート1: 許容応力度計算

建物にかかる地震や風の力に対して、材料が耐えられるかどうかを確認する計算です。

ルート2: 許容応力度等計算

外力によって建物がどれくらい変形するかを計算し、基準以下の変形であることを確認します。木造2階建て以下の住宅では、ルート1とルート2が構造計算として扱われます。

ルート3: 保有水平耐力計算  

積雪や強風、中程度の地震の力でも、構造が損傷しないことを確認します。

ルート4: 限界耐力計算 

3階建て以上や延べ面積500㎡以上の建物で、どこまでの外力に耐えられるかの限界を確認します。

ルート5: 時刻歴応答解析  

2025年から木造住宅における構造計算が義務化|四号特例縮小とは?  

2025年以降、建築確認に関する規定が変更され、木造住宅の建築に大きな影響が出ます。特に、これまで「四号建築物」として構造計算が省略可能だった条件が厳しくなり、次のように変更されます。

壁量計算の審査や構造計算が必要な建築物が増加  

これまでは、500㎡未満の木造2階建て住宅や平屋住宅では、壁量計算(審査不要)のみで建築が可能でした。しかし、今後は壁量計算に審査が必要になったり、構造計算(許容応力度計算)が必要な建物が増加します。

  • 300㎡以上のすべての住宅が構造計算必須となる 
  • 300㎡未満の2階建て住宅および200㎡以上300㎡未満の平屋住宅は壁量計算のみで済むが、別途審査が必須となる

一般的な木造住宅は200㎡以下が大半であるため、新たに構造計算が必要となる住宅は多くはないと考えられます。

構造計算を行っている工務店・ハウスメーカーの業務は変わらない  

2025年の改正により、これまで壁量計算のみで対応していた工務店やハウスメーカーにも審査が求められるため、資料作成の業務負担が増加し、建築コストも上がる可能性があります。  一方、元々構造計算を行っている工務店やハウスメーカーにおいては、構造計算業務自体に大きな変化はなく、構造計算の価格もほとんど変わらないでしょう。(ただし、建設業界の2024年問題により全体的な価格が上昇する可能性はあります)  

こうした工務店やハウスメーカーに依頼すれば、これまでの経験を活かしてスムーズに設計や手続きを進めてもらえるため、安心して家づくりを進めることができます。

地震に強い家づくりならイデアホーム  

本当に地震に強い家を建てたいのであれば、迷わず「構造計算(許容応力度計算)」を選ぶことをおすすめします。イデアホームは耐震性に特化した工務店であり、詳細な構造計算を実施しています。さらに、木造住宅だけでなく、超高層ビルの設計にも用いられる「時刻歴応答解析」を導入しています。これにより、地震時の揺れや負荷を詳細にシミュレーションし、家全体の耐震性を最適化しています。

また、イデアホームでは、地盤の特性に基づいて設計を行い、家の耐震性能をさらに強化します。一般的な耐震等級3を超える耐震性を実現し、長期にわたり安心して暮らせる家づくりを提供しています。

モデルハウスや耐震研究所では、イデアホームが提供する耐震性能の高さを実際に体験できます。過去の大規模地震を想定した揺れや、建物の強度を体感することが可能です。ぜひお問い合わせの上、耐震性に優れた家づくりを体験しにお越しください。

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