ウッドショックとは? 新築住宅への影響

ウッドショックによる木材価格の高騰と新築住宅市場への影響を解説します。ウッドショックはまだ続くのか、住宅価格の今後について説明し、住宅取得を支援する補助金制度も紹介します!

ウッドショックとは? 新築住宅への影響

家づくりのノウハウ

2024/07/08

ウッドショックが新築住宅に与える影響

ここ数年、世界中で木材価格の高騰、いわゆる「ウッドショック」が注目されています。このウッドショックはなぜ発生したのでしょうか。また、新築住宅を建てる人々にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。2024年現在も続く木材の不足と価格高騰の要因や、その影響について解説します。

ウッドショックとは?

ウッドショックとは「輸入木材の価格高騰」のことを指します。ここ数年、各メディアで頻繁に登場しているこの言葉は、いくつかの原因によって輸入木材の需要が高まり、結果として木材価格が高騰している現象を表しています。この用語は、1970年代に石油価格が急騰した際に使われた「オイルショック」から派生したものです。

ウッドショックの原因は?

「ウッドショック」という言葉が多く見聞きされるようになったのは、2021年春頃からです。ウッドショックは一つの要因ではなく、以下の複数の要因が重なって発生しました。

コロナ禍による住宅ニーズの変化

2020年に発生した新型コロナウイルス感染症の影響で、テレワークが世界中で普及しました。これにより、アメリカや中国で広い戸建住宅への需要が急増し、世界的に木材の市場価格が高騰しました。

日本における遅れた市場回復

コロナ禍で日本の不動産市場は一時的に委縮しましたが、2021年に回復。しかし、木材価格はすでに高騰しており、日本でも高値で木材を購入せざるを得なくなりました。

国際海上輸送の滞り

コロナ禍により国際海上輸送が滞り、輸入木材の不足が深刻化。特にコンテナ不足や輸送費の高騰が、木材価格の上昇を招きました。

世界的な建築需要の拡大

コロナ禍の住宅需要増加に加え、世界的に建築需要が拡大し、木材の需要がさらに高まりました。特に中国の不動産市場の過熱による需要増が大きく影響しました。

カーボンニュートラル推進

環境意識の高まりから、再生可能な建材として木材の需要が増加しました。

ロシア・ウクライナ紛争

2022年のロシア・ウクライナ紛争が木材供給に影響を与え、物流の混乱や制裁措置で輸出入が困難になりました。ロシア産の木材の輸入量は大きいため、さらに輸入量の減少を招きました。

日本の木材自給率の低さ

日本は森林資源が豊富ですが、木材自給率は約40%前後で、海外に依存しています。林業従事者や製材設備、伐採のための道路などのインフラは急に増やすことはできないため、国産材の増産は難しいのが現状です。コロナ禍や紛争、国内の需要増加により、慢性的な木材不足に陥っています。

これらの要因が複合的に作用し、ウッドショックを引き起こしました。

ウッドショックによる新築住宅への影響

ウッドショックは実際、新築住宅にどのような影響を与えたのでしょうか?

新築住宅におけるウッドショックの影響

ウッドショックによる輸入木材の価格上昇は、特に戸建住宅の建築工事費を上昇させました。耐震性能の高い住宅は相対的に梁が太く、柱も多いため、木材使用量が多く価格も大きく上がりました。一方で、ローコスト系住宅では木材のグレードを下げたり、使う量を減らしたりすることでコストを抑えています。これにより、耐震性能の高い住宅とローコスト住宅の価格差は大きくなりました。木材価格は落ち着きつつありますが、輸入木材の減少と国内自給率の低さから、今後もウッドショックの影響で建築費の高騰は続くと予想されています。

ローコスト住宅におけるウッドショックの影響

ローコスト住宅は、耐震性能の高い住宅に比べて価格面ではウッドショックの影響を受けにくいように見えます。しかし、住宅選びにおいては価格だけでなく、中身を見て選ぶことが重要です。ローコスト住宅が低価格である理由を理解してから選びましょう。

まず、コストを抑えるために木材のグレードを下げると、使用される木材の品質が低くなり、住宅全体の耐久性が低下する可能性があります。また、木材使用量の削減やグレードの低下は建物の構造強度に影響を及ぼし、特に耐震性能が低下するリスクがあります。地震が頻発する地域では、これは重大な問題となります。そのため、ウッドショック後でもローコスト住宅を選ぶ際には、初期費用の安さだけでなく、長期的な視点で見た総コストや快適さ、耐久性についても十分に検討する必要があります。

ウッドショックはいつまで続くの?

2021年頃、ウッドショックは住宅の建築工事費を押し上げる大きな要因となりましたが、現在の状況はどうなっているのでしょうか。

出典:農林水産省Webサイト(https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r5hakusyo/index.html)
「令和5年度 森林・林業白書」(農林水産省)(https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r5hakusyo/attach/pdf/gaiyou-7.pdf)を加工して作成

ウッドショックは徐々に落ち着いてきています。アメリカや中国などの住宅需要の高まりが木材価格の上昇を引き起こした主な要因でしたが、現在ではこれらの国々の住宅需要が落ち着き、特に中国では不動産バブルの崩壊が見られ、需要が減少しています。このため、ウッドショックも収束傾向にあります。

一方で、ロシア・ウクライナ情勢による原油高や円安ドル高が依然として続いており、木材価格に影響を与えています。これらの要因を考慮すると、ウッドショックが完全に終了したわけではなく、「落ち着いて高止まりしている」と表現するのが適切でしょう。複数の要因が連続して発生することでウッドショックは長期化しています。そのため、2024年以降も輸入材の高騰が続くことが予想されます。

今後、住宅価格はどうなる?

住宅価格は建築工事費と土地代から成り立ちます。ウッドショックは「落ち着いて高止まりしている」傾向にあるものの、建築工事費は依然として上昇を続けています。2022年春頃からの円安により、輸入品全般の価格が上昇しています。住宅建築に必要な木材や鉄、海外生産された設備や建材の価格も上がっており、これが建築工事費を押し上げています。円高に戻れば輸入品の価格が落ち着き、建築工事費への影響も小さくなるかもしれません。

政府の働き方改革も住宅価格の高騰に影響しています。人件費や輸送費も高騰しています。労働基準法の改正により、労働時間の上限規制が設けられ、建設業も2024年から規制が開始されています。働ける時間が限られると工期が伸び、全体的な工事費の値上げが予想されます。

▼注文住宅のお金の話についてはこちらもご覧ください。

ウッドショックや住宅価格上昇に対する家づくり

住宅価格の上昇が続きそうですが、国や地方公共団体は住宅取得を促進する補助金制度を用意しています。ここでは、省エネ住宅や長期優良住宅の取得、国産木材を利用した住宅建築で利用できる制度を紹介します。

  • 省エネ住宅補助金:エネルギー効率の高い住宅の取得や改修を支援する制度。
  • 長期優良住宅補助金:長期間にわたり良好な状態で住み続けられる住宅の取得を支援する制度。
  • 国産木材利用補助金:国産木材を利用した住宅建築を支援する制度。

これらの補助金制度は、年度によって要件や申請期間、補助金額が変わるため、詳細は各団体のホームページで確認してください。

▼詳しくはこちらの記事もご覧ください。

イデアホームでは、高気密・高断熱を徹底し、独自の基準として長期優良住宅の仕様を全棟標準化しています。また、お客様ごとにエネルギー効率の良いゼロエネルギーハウス(ZEH)を提案しています。ZEHは「子育てエコホーム支援事業」「東京ゼロエミ住宅」の条件に適合した住宅であり、イデアホームでもこの支援事業の申請を予定しています。子育てエコホーム支援事業、東京ゼロエミ住宅の助成金を利用したいと考えている方は、お気軽にご相談ください。

スタイル付き無料資料請求は
こちらから

イデアホームは地震に強いだけでなく、デザインにも自信を持っています。イデアホームの耐震性に興味のある方はもちろんのこと、デザインやスタイルについて気になる方も、まずは無料資料請求をどうぞ

詳しく見る