耐震等級3は必要?後悔しないために学んでおこう

地震に強い家づくりを考えていると、よく目にするのが「耐震等級3」です。本当に耐震等級3の家は必要なのか?地震に強いのか?耐震等級3で後悔しない注意点などを解説します!

耐震等級3は必要?後悔しないために学んでおこう

耐震のノウハウ

2022/10/21

耐震等級3って何?必要?

家づくりを調べていると「耐震等級3」というワードを目にすることがあるかと思います。耐震等級とは地震への強さを示す指標ですが、一体どのくらいの規模の地震に耐えられるのか、本当に「耐震等級3」は必要なのか気になりますよね。地震に強い家づくりに耐震等級3は必要なのか?今回は 家づくりで後悔しないためにも、耐震等級3の家について解説していきます。

耐震等級とは

耐震等級とは、木造住宅が倒壊、崩壊する地震の大きさをおおまかに「等級」で示す判断基準のこと。等級は1~3の3段階にランクが分かれ、数字が大きいほど耐震性能が高くなります。耐震等級は、第三者機関が設計や工事をチェックした「住宅性能評価書」に記載されています。住宅性能評価書は、2000年に住宅の品質を客観的に評価する仕組みとしてつくられた「住宅性能表示制度」に有償で申請をし、交付されるものです。耐震性能は住まいの安全性に大きく影響しますが、工務店やハウスメーカーによって工法や技術も違います。なかなか公平に比較するのは難しいですが、耐震等級の認定を受ければ、地震への強さをある程度判断できます。

▼耐震等級については詳しくはこちらの記事もご覧ください。

耐震等級3とは

耐震等級3とはどのくらいの「耐震性能」なのかを説明します。
耐震等級3は、耐震等級1の1.5倍の耐震性能があることを示しています。住宅性能表示制度で定められた耐震性の中でも最も高い耐震基準です。震度6強〜7の大地震が起きても、軽い補修程度で住み続けられるレベルと言われています。主な建築物は、消防署や警察署など防災施設に多い等級のため、耐震性の中でも最も高い耐震基準と宣伝される工務店やハウスメーカーは多くいます。しかし、最新の研究では、耐震等級3が必ずしも最も高い基準とは言えません。なぜかと言うと、耐震等級の基準を決めた時よりも地震の規模が年々大きくなり、回数も増えています。耐震等級の基準である「ごくまれに起きる地震」は数百年に1回起きるとされていますが、阪神淡路大震災以降、数年に1度はこの地震の2倍以上の地震が観測されています。また、耐震性能は同じ耐震等級3でも構造計算によって異なります。消防署や警察署は小規模な木造住宅と違い、建設するにあたり、構造計算を必須で行います。壁量計算や、性能表示計算と言った簡易な計算による耐震等級3と、構造計算をしっかりと行った耐震等級3は、耐震性が根本的に異なるので同じ耐震等級3と言っても同等とは言えません。そのため、家を建てる場所によっては耐震等級3でも不足する場合があります。
構造計算による耐震性能の違いについては、こちらで詳しく説明します。

耐震等級3は必要?

耐震等級1であっても建築基準法における最低限の耐震性能は担保されています。建築基準法のルールが守られているなら「耐震等級1でも大丈夫なのでは?」と思われるかもしれません。耐震等級3は必要なのか?を説明します。

耐震等級1、つまり新耐震基準は「震度6強~7レベルの地震でも人命が守られるように」という観点から決められたルールではありますが、近年起きる地震はかなり規模が大きくなっています。そのため、正確な耐震シミュレーションでは新耐震基準では倒壊の危険があります。新耐震基準は単発の揺れには有効でも、連続した揺れまでは考慮されていません。1度目の揺れで倒壊はしなくても、2度、3度と繰り返し大きく揺れた時、大きな被害を受ける可能性は否定できません。実際に2016年に起きた熊本地震は震度7が前震と本震と2度起きています。耐震等級3の住宅であれば、倒壊、崩壊しないとされていますが、耐震等級2の基準で建てられた長期優良住宅は倒壊しています。また倒壊しなかったとしても、家が傾いたり大きな損傷を受けたりすれば、そのまま住み続けるのは難しくなります。住む場所がなくなったり、高額な補修費用がかかったりと、精神的にも経済的にも多大な負担がかかるため、「人命を守る」だけでなく「ずっと安心して住み続けられる」という観点から考えると、最低でも等級3もしくは等級3以上といった高いレベルの耐震性能は必要と言えます。

耐震等級3で後悔しないための注意点

同じ耐震等級3と言っても、実際は構造計算によって耐震レベルは異なります。また、耐震等級3だと思って建てた家が後に、耐震等級3″相当”だと知って後悔をされている方は多くいらっしゃいます。ここでは耐震等級3の家を建てるうえで後悔しないための注意点を解説します。

構造計算によって異なる、耐震等級3

同じ耐震等級3の家でも、計算方法により地震への強さは異なります。家の強度の確認には、次の3通りの方法があります。

①壁量計算

壁量計算とは、揺れに対する耐力壁の量が十分かをチェックする簡易的な方法。壁量計算では、住宅にかかる水平の力に対して「必要な耐力壁の量を満たしているか」を調べます。地盤の揺れやすさは考慮しません。

②性能表示計算

性能表示計算とは、耐震等級2、3を確保するために壁量計算に加えて「床・屋根倍率の確認」と「床倍率に応じた横架材接合部の倍率」を検証した計算方法。壁量計算同様に構造計算ではなく簡易な計算です。こちらも地盤の揺れやすさは考慮しません。

③許容応力度計算

許容応力度計算とは、壁量計算よりも、性能表示計算よりも細かく複雑な計算方法。一般的に耐震等級2や3を希望する場合に用いられる構造計算方法です。建物を作る柱や壁などの部材が、地震や風などに対してどのくらいの荷重(ちから)まで耐えられる強さがあるのか(許容応力)を計算します。同じ壁量である場合、許容応力度計算の方が、上下階の耐力壁をバランスよく配置できるため、より強い構造にすることが可能です。鉄骨造や鉄筋コンクリート造りの消防署や警察署は許容応力度計算を行います。

確認方法安全性費用相場
仕様規定
(壁量計算)
・耐震等級3の取得は不可。
・非常に簡易的な計算のみ。
・安全性は1番低い
無料
性能表示計算
(品確法)
・耐震等級3の取得可能
・安全性は許容力度計算には劣る
約10万円〜
許容力度計算
(構造計算)
・耐震等級3の取得可能
・緻密に計算を行う
・安全性が高い
約20万円~

建築確認や性能評価では、どちらの計算方法を使用しても良いため、計算方法によって耐震性の差が生まれます。基本的には、木造住宅の構造計算とは「許容応力度計算」のことを指しますが、単に床面積に係数を掛けただけの「壁量計算」を構造計算と称する工務店、ハウスメーカーも多く、注意が必要です。しっかりとした構造計算によって建てられた耐震等級3の住宅は、各接合部の強度や鉛直荷重、基礎の構造計算も行われ、壁量計算のみ行った住宅よりはるかに耐震性が高くなります。

仕様計算
(壁量計算等)
性能表示計算
(品確法)
構造計算
(許容力度計算)
耐震等級1
(基準)
強度ランク
1.0
強度ランク
1.0
強度ランク
1.6~1.8
耐震等級2
(基準の1.25倍)
強度ランク
1.6~1.7
強度ランク
2.0~2.2
耐震等級3
(基準の1.5倍)
強度ランク
1.9~2.0
強度ランク
2.4~2.7

「耐震等級3の建物なら安心」というわけではなく、「しっかりと構造計算されているか」が、地震に強い家を作るために重要なポイントと言えます。例えば、耐震性に特化している工務店であるイデアホームでは、詳細な構造計算である「許容応力度計算」と、超高層ビルなどの建築の際に使用される「時刻歴応答解析」を行っています。更に地盤の特性による地震の揺れも調査し設計に反映させ、一般的な耐震等級3をはるかに上回る耐震性を実現しているため、地震に強い家づくりができます。本当に地震に強い家を作るためには、様々な調査やシミュレーションを行い、細部までしっかりと設計、施工することが不可欠です。
▼地震に強い家づくり、構造計算について、こちらもご覧ください。

耐震等級3と耐震等級3相当は大きく異なる

耐震等級3に「相当」と付いている住宅は、正式な認定を受けていない住宅です。正式な認可を受けていない場合は、きちんとした構造計算が行われているか分かりません。耐震等級3を取得するには、25〜30万円の費用をかけて申請をします。国が認定する第三者機関によって正式な審査が行われ、認定を受ける必要があります。その審査を行わない場合は、同等の施工内容で耐震強度があっても、耐震等級3とは記載できないため、耐震等級3「相当」になります。第三者機関で耐震等級3を取得するメリットは、木造住宅で耐震性能最高ランクの住宅に住む事ができ、安心して日々を過ごす事ができるだけではありません。耐震性能のある安心した耐震等級3を取得する事で地震保険料の割引が適用されます。また、長期固定金利である「フラット35」の利用を検討する場合、耐震等級3を取得することでフラット35Sの金利Aプランが利用できるようになります。こちらは耐震等級3「相当」では、受ける事ができません。公的な証明書は着工前に申請しないといけない事が多いので、出来るだけ早い段階で工務店、ハウスメーカーに確認をしましょう。

耐震等級3にしなかった事を後悔しないために

法律上は耐震等級1、すなわち建築基準法を守れば良く、等級2や3はあくまでも任意です。大きな地震の後も安心して住み続けられる家をつくりたいという方は、最低でも等級3や3以上を検討してみてはいかがでしょうか。家を建てた後に、耐震等級の認定を取得する事はできません。どこまでの性能を求めるのか、どこまでコストをかけられるのか、正式な等級は取得するのか等、工務店やハウスメーカーとよく話し合って決めることが大切です。

耐震等級3以上の耐震性を持つ家づくりなら、イデアホーム

イデアホームは耐震性に特化した工務店です。詳細な構造計算である「許容応力度計算」と、超高層ビルなどの建築の際に使用される「時刻歴応答解析」を行っています。更に地盤の特性による地震の揺れも調査し設計に反映させ、一般的な耐震等級3をはるかに上回る耐震性を実現しています。また、実際の地震の揺れを再現した実大振動実験と同じように、パソコンの中で地震を発生させ建物がどのような損傷を受けるかシミュレーション(wallstat)もできるのが特徴です。

例えば一般的にビルトインガレージは耐震性が弱いと言われてますが、イデアホームの「ANBO garage」ではお客様の土地の地盤ごとに耐震シミュレーションを重ね、地震が起きても倒れないよう構造計算を行います。「おしゃれなビルトインガレージが欲しい」「でも耐震性も欲しい」その両方を叶えて、安心して暮らせる家を提供できるのも、耐震性に特化した工務店だから。モデルハウス完成見学会にて詳しくご説明しています。特に耐震研究所では、過去の大規模地震の揺れやイデアホームの家の強さを実際に体験できます。是非一度お問合せの上、お越しください。

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